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クロス・カッティング

デジタルシネマは、今まで映画館での上映が不可能だった演劇やコンサートの上映を可能にしたと書きましたが、よくよく考えて見ると、我が家にテレビ受像器が来た昭和33年当時のテレビ放送は、「劇場中継」が随分ありました。

恐らくは番組を新たに創るよりは安価に、そこそこの視聴率が稼げたのかもしれません。
そう思えば、テレビの「劇場中継」がシネマに回帰した感がなくもないです。

芝居はワンシーンワンカットの映画のようで映画的面白さとは異なる部分があります。その点をデジタルシネマではマルチカメラを用いて、芝居を可能な限りダイナミックに映像表現を試みていると思いますが、しかし、高度な撮影や編集技術を駆使した、極めて映画的な表現も動画編集を目指す者には興味がつきません。

フランスの映画監督、脚本家、映画批評家、著述家であるルイ・デリュック(1890年~1924年)は、 「映像による現在と過去、現実と想い出という対照は、映画芸術の最も魅力的な議論の一つである。(中略)私は、数々の想い出についての妄想や過去への根源的な回帰を映画に転写する以上に魅力的なものは何も知らない」と述べて、自らが監督した作品「沈黙」(1920年)で、1人の男が過去を回想し、最後には自殺するという物語で、観客を現在や過去へと導くために、クロス・カッティングを使用して見る人に登場人物の心理を表現するように演出していたと言われています。

少し話しが逸れますが、私は脚本家の橋本 忍さん(故人)の作品が好きで、昨秋に兵庫県神崎郡市川町にある「市川町文化センター 橋本忍記念館」に行ってきました。

ichikawa


橋本さんは市川町の出身で、「羅生門」「七人の侍」「八甲田山」そして「砂の器」など数々の名作を手がけ、戦後の日本映画の発展を支えた脚本家の一人です。

記念館には数多くのシナリオやポスター、チラシなどが展示されていました。その橋本プロ第一回作品が「砂の器」でした。

殺人事件の犯人である加藤剛演ずる作曲家が自作作品を初演する演奏会のシーンと、丹波哲郎が扮するベテラン刑事が、捜査会議の中で報告するシーン。その報告をナレーションにしながら、ハンセン氏病に罹患し、差別を受ける犯人の幼少期の哀れな巡礼姿が日本各地の美しい自然を描きながら音楽と共に、感情を煽ります。
特に荒海の日本海をバックにクロスカッティングしながら、これでもかと盛り上げていく数十分は、将に圧巻と言えます。

シナリオ、映像、俳優、演出、編集そして音楽。映画が「総合芸術」と思わせるに相応しい不朽の名作だと思います。
私も是非「クロスカッティング」を使い倒せるようになりたいものです。


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